〜お互いを守るために〜
お子さんはいらっしゃらず夫婦で助け合いながら暮らしていたある高齢のご夫婦。
妻の◯子さんは腰が悪く外出するのが難しい方でデイサービスは行きたがらず、夫が◯子さんの入浴介助や排泄介助、他買い物や食事の支度など全て行っていました。
いよいよ◯子さんが室内を移動する事も難しくなり、夫と一緒であれば施設に入所しても良いと話が進みました。
そして、ご夫婦の年金や預金のこと等お伺いすると生活費他家賃などは全て夫が支払っており、◯子さんの預金はほぼ手付かずな状態。逆に夫の預金は施設入所となると少し心細い金額しか残高がないことがわかりました。
夫は俺が死んでも◯子が困らないようにしてあげたい‥と考えての事だったようです。
しかし、もし◯子さんが先にお亡くなりになった場合、◯子さんの財産は全て夫に入る訳では無い状況でした。
◯子さんは兄弟が多い方で、もしお亡くなりなった場合、財産の4分の1は兄弟にいってしまうのです。兄弟が亡くなっていてもその方の甥や姪に相続権がうつります。さらに◯子さんの兄弟は音信不通の方もいらっしゃいました。
夫は◯子さんの通帳も管理していたので、◯子さんのお金をおろして自分の通帳に入れておけばいいのか?と言いますが‥。
そうですよね、ずっと2人で生活していて、どっちの預金だろうが2人のものとして生活していたのですから、そう思うのもごもっともですが、おすすめする事はできません。
このままでは◯子さんが先に亡くなった場合。夫が施設費用を支払えなくなる可能性が出てきました。
そこで、専門家と相談し、お互いがお互い宛に自分が亡くなったら全財産を配偶者に相続させたいという2通の遺言書をつくる事にしました。
2人は無事施設入所する事になったので本当に良かったのですが、遺言書の大切さを痛感したケースでした。