〜夜間にかかってくる電話〜
ケアマネージャーの仕事をしている時に、会社の緊急用携帯電話を持ち回りしていた。
年末年始、事務所はお休み。会社にかかってくる電話は全て緊急携帯に転送される。
家族で紅白歌合戦を見ていたら、緊急携帯電話が鳴り出す。
出ると良く電話がかかってきていたHさん。
「もう動けない、明日ヘルパーさんにきて欲しい」と。
どうしたんですか?と聞いてみるけど、何かはっきりとした症状があるわけではないよう。動けないと言ってもこうやって電話をかけられる力はあり、トイレも行けているよう。
リビングには家族がいるので、寒い玄関の脇でHさんと色々話しているうちに、リビングのテレビはゆく年くる年になっている。
年末年始はヘルパーさんも休む方が多く、どこの事業所でも時間を変えたり振り替えたりして、利用者さんにも協力してもらいながら、なんとかシフトを組んで訪問してもらっている状況。
31日の夜に明日の元旦にヘルパーさんにきて欲しいというのは、難しい相談でした。
元々不安の強い方だったので、1月2日にはヘルパーさんが入り、買物支援をするよう組んでいたのですが、それでも不安になってしまったようです。
「もうすぐ年が明けますね。」「暖かくしてね。」「2日にはヘルパーさんが来てくれますからね。」
息子様がいる方でしたが、そこには電話できないのです。本当は正月に息子様に来て欲しいんだと思います。てもそのことには触れず、最後はもう世間話をして電話を切りました。
相談業務の仕事は、表現化された「言葉」ではなく、「心の声」を聞かないと支援が違う方向に言ってしまうことがあります。
これがなかなか難しい。Hさんは「動けない」という表現でしたが、先日24時に「俺を殺す気か」と怒る方の電話を取り、ふとHさんを思い出しました。
誰しも、自分の気持ちをうまく表現できる訳ではないですからね。
これからも人の心の声を聞き続けられるよう、自分の心にも耳を傾けていきたいと思います。