人生100年時代の50up世代へ
ライフスタイル

心の声を聞く

〜夜間にかかってくる電話〜

ケアマネージャーの仕事をしている時に、会社の緊急用携帯電話を持ち回りしていた。

年末年始、事務所はお休み。会社にかかってくる電話は全て緊急携帯に転送される。

家族で紅白歌合戦を見ていたら、緊急携帯電話が鳴り出す。

出ると良く電話がかかってきていたHさん。

「もう動けない、明日ヘルパーさんにきて欲しい」と。

どうしたんですか?と聞いてみるけど、何かはっきりとした症状があるわけではないよう。動けないと言ってもこうやって電話をかけられる力はあり、トイレも行けているよう。

リビングには家族がいるので、寒い玄関の脇でHさんと色々話しているうちに、リビングのテレビはゆく年くる年になっている。

年末年始はヘルパーさんも休む方が多く、どこの事業所でも時間を変えたり振り替えたりして、利用者さんにも協力してもらいながら、なんとかシフトを組んで訪問してもらっている状況。

31日の夜に明日の元旦にヘルパーさんにきて欲しいというのは、難しい相談でした。

元々不安の強い方だったので、1月2日にはヘルパーさんが入り、買物支援をするよう組んでいたのですが、それでも不安になってしまったようです。

「もうすぐ年が明けますね。」「暖かくしてね。」「2日にはヘルパーさんが来てくれますからね。」

息子様がいる方でしたが、そこには電話できないのです。本当は正月に息子様に来て欲しいんだと思います。てもそのことには触れず、最後はもう世間話をして電話を切りました。

相談業務の仕事は、表現化された「言葉」ではなく、「心の声」を聞かないと支援が違う方向に言ってしまうことがあります。

これがなかなか難しい。Hさんは「動けない」という表現でしたが、先日24時に「俺を殺す気か」と怒る方の電話を取り、ふとHさんを思い出しました。

誰しも、自分の気持ちをうまく表現できる訳ではないですからね。

これからも人の心の声を聞き続けられるよう、自分の心にも耳を傾けていきたいと思います。

ABOUT ME
ゆきコスモス
52歳女性 東京在住 夫、娘、息子の4人家族 大学を卒業後、営業職から福祉職へ転向。現在高齢者の総合相談窓口で勤務。 趣味:読書、木彫、落語鑑賞 やっていたスポーツ:水泳、バスケ、スキー、スキューバダイビング