〜ケアマネ時代のお話〜
私はSさんからすると、孫ぐらいの年の差でケアマネとして担当させてもらっていました。
Sさんは、絶対お金持ちなんだろうなと言う家に住んでいました。
でもSさんは自分がしていた仕事を私に教えてくれませんでした。ケアマネとして私は失格だったのかもしれませんが、教えたくないのなら、無理に聞いてはいけないとも思っていました。
デイサービスがない日に訪問すると銀行の方や弁護士さんなどとすれ違う日もありました。
ある日スーツ姿のかっこいい女性の方とすれ違ったので「今の女性の方、めちゃくちゃ仕事ができそうな方ですね。誰ですか?」と思わず聞いてしまった時、「弁護士だったけど、クビにした。」
「え〜!!!この前も弁護士をクビにしたようなこと言ってなかったっけ???っていうか、なんで私のことクビにしないんだろう???ってか私は大丈夫なのかしらん・・(心の声)」とずっと担当しながら思っていましたが、生涯ケアマネとして担当することになりました。
正直ケアマネとして私は何もしていなかったと言っても過言ではありませんでした。ケアプランは作っていましたが、Sさんは、自分が何ができて何ができないか全部わかっていたので、介護サービスは全部自分で決めていました。それも全く無駄が無いプラン。お金持ちだからって、家政婦を雇うような方ではありませんでした。
でも、少しづつSさんも限界に近づいていました。「〇〇病院に入院したい。連絡を入れて欲しい。」と頼まれました。入院準備を手伝い何とか無事入院できてホッとした翌日、面会に行って病室に入ろうとしたら、何やらSさんとお医者さんが揉めているではありませんか。どうも頑固炸裂したようでお医者さんに怒られています。
「あなたも昔、医者だったんですから、そんなことできないってわかりますよね!!」って、、
え〜!!!お医者様だったの〜!!
ほとぼりが覚めた頃、素知らぬ顔をして面会へ。
何でだろ私には優しいSさん。また(面会に)来ますねと握手して退室。それがSさんと私の最後の会話となりました。
私はSさんの頑固さが大好きでした。ずっと担当させてくれてありがとうございました。Sさん、これからも空から見守っていてくださいね。